川端康成さんとモネにとっての「雪」―2人ともたくさんの色を見ていた

 かささぎ2川端康成さんがノーベル文学賞の受賞スピーチで、白色について語った言葉を幾度となく当サイトで紹介してきました。「色のない白は最も清らかであるとともに、最も多くの色を持っています」という言葉です。この言葉の意味するところを川端さんの代表作「雪国」に描かれる雪の描写に探り、更級への旅236号で書きましたが、録画していたテレビ番組「美の巨人たち」を見て、絵画でも読みとけるかもしれないと思いました。印象派のフランス人画家クロード・モネの「かささぎ」(画像)です。
 かささぎはカラスの仲間の鳥で、画像の左側の生垣の間の木の扉にとまっています。この鳥の呼び名が作品(油絵)のタイトルになっていますが、描かれているのは雪景色です。番組によると、この雪の描写がよく見ると、さまざまな色を塗り重ねているというのです。手元にあるモネの画集の雪の部分を拡大してみると、確かに赤や青、黄色などが見えます。番組は実際に雪から発せられている光を、映像で拡大し、雪の光がさまざまな色の面で構成されていることを見せます。その光と色のメカニズムを、モネは雪の白色の画面で表現しているというわけです。
 「白は最も多くの色を持っています」という川端さんの言葉が強烈によみがえりました。モネの目に、光の色分解が実際に見えたからこのような表現になったのかどうかはわかりません。ただ、この作品はのちにモネが光と色彩の画家として世に知られる直前に描いた作品で、番組はモネの目指す表現の核心がこの作品に現れていると紹介していました。
 白の中にたくさんの色を見た川端康成さんとモネ。美を表現する手段は文学と絵画という違いがありますが、雪の白色が、世界的な芸術家として世に知られる基盤になったことで共通しているのが興味深いです。