戸隠修験場でもあったと言われ、滝の正面に戸隠の連山を望む絶妙な場所にある。以前には、春の農作業前に、十分な水利と五穀豊穣を願い、願掛けに登ったと言われ、子どものころについていった記憶も残る地元信仰の滝でもあります。最近はこの登山道を利用する登山者の数は少なく、毎年7月冠着神社の祭りに合わせ、区の役員により注連縄(しめなわ)の張り替えが行われています。
一般家庭には冷蔵庫などなかった時代、キブシの黄色い花が咲き始めると、下校後、友人と天然氷を探しに出かけた。ガラ場の岩の下や隙間を探し、夏は滝の水を浴びるだけのために登ったこともあり、水の飛沫が冷たく、セミの声を消す水音と、複輝石安山岩(ふくきせきあんざんがん)の漆黒の岩の高さに圧倒され、滝下に並んだ祠(ほこら、今は1基のみ)に飾られた、金属の飾りの数々…何か別世界を感じ手を合わせたものである。
アジサイの時期は特にお勧めしたい場所である。
(文と写真・千曲市羽尾4区の北村主計さん。さらしなの里友の会だより30号=2014年春=から)