更旅202号・冠着ヒメボタルの生態明らかに!

更旅・ヒメボタル講演会samuneiru

 冠着山頂に鎮座する冠着神社のお祭りが営まれる毎年7月下旬、神社周辺にホタルが舞うことがわかりました。絶滅危惧種のヒメボタルです(シリーズ97号)。川がないのになぜ?などと疑問を抱いていた更級人「風月の会」では、生態学がご専門でホタルに詳しい信州大学理学部の藤山静雄教授を7月20日、明徳寺にお招きし講演をお願いしました。
 藤山先生は写真と図解をスライド上映し、大変わかりやすく話してくださいました。左がヒメボタルの写真です。特徴は大きな目玉。目玉が大きいのは少ない光でも活動できるようするためだそうです。以外だったのは、日本にいる46種のうち、川に生息するのはゲンジボタルやヘイケボタルなど3種だけで、大変例外的だということでした。ではヒメボタルはどのように生まれて成長するのか、その図解が下です。林床の落ち葉の中などに卵を産みます、8月に孵化し、そのあとは陸生巻貝や小動物を食べます。幼虫は土の中でまゆをつくり、さなぎになり7月、土から出ます。
 かつては、このような自然環境の山はたくさんあったのですが、杉などの人工林が多くなり、林床が荒れ、なかなか見えなくなったのだそうです。逆に言うと、冠着山頂は多様な生物が生きられる豊かな自然環境ということになります。藤山先生も幾度か更級人「風月の会」のメンバーと冠着山頂でヒメボタルの観察をしたことがあり、登山道沿いに舞うヒメボタルの点滅を見たことがあるそうです。ヒメボタルは頂上周辺ではかなり広範囲で生息しているはずとのことでした。
 不思議なことにヒメボタルはメスは羽が退化して飛べずオスだけが舞います。そんなこともモチーフにした歌「冠着の光」を講演会後、さらしな棚田バンドが披露してくれました。当地の里のホタルの発生状況を調べている羽尾4区の小河原邦楽さんは近年は湯沢川沿いが発生が盛んになっていると報告しました。千曲市八幡地区の方を中心にした信州さらしな月の里唄実行委員会のみなさんもオリジナルの歌と踊りを披露してくださいました。藤山先生はホタルが発光する理由などホタルという生物の生態や松本市のホタル保全活動も紹介しました。藤山先生の全講演と小河原さんの報告の録音をさらしな堂のホームページで聴くことができます。全体で約100分。前半後半それぞれ約50分ずつに分割しています。「前半」「後半」それぞれをクリックしてください。

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