月の都のアート作品一堂に アートまちかど

千曲市の美術館、アートまちかどで開催中の月の都展最終章(8月14日まで)を見に行ってきました。これまでの2回では展示できなかった新たな作品がいくつもあり、楽しめました。もし1枚だけ買えるとしたら手に入れたいと思ったのは、日本画家、倉島重友さん(千曲市倉島出身)の「豊穣の棚田」でした。撮影禁止作品なので、ここにアップできないのですが、収穫を前にした棚田の稲穂の実りが輝き、棚田の向こうには白い煙が数本上がっています。万葉集の冒頭に連なる歌の一つ「大和(やまと)には郡山(むらやま)あれどとりよろふ 天(あめ)の香久山(かぐやま)登り立ち 国見をすれば国原は煙立ち立つ…」を思い起こしました。日本という国家の礎を気づいた天智・天武両天皇の父、舒明天皇の歌で、都のシンボルである香久山の頂上にのぼり、民の家のかまどからいくつも煙が立っている様子を歌っています。農作物の豊穣と国の安泰平和を寿いだものです。

倉島さんの作品では白い煙の発生元は見えません。稲わらを焼いている煙もあるかもしれません。高所から全体を見渡せる棚田ならではの心の風景です。

いつ見てもいいなあと思うのが、倉島丹浪さんの「姨捨山」です。7月31日にお話をする「月の都さらしなの美」では、アートまちかどがこの作品について示した鑑賞の観点も紹介し、深く味わいたいと思います。

戸倉上山田中学校の伝説の美術教師、飛矢崎眞守さん(故人)について、教え子が持っているエピソードもいくつも紹介されていました。