持統天皇の本の名「さらら」

天上の虹・サムネイル   里中満智子さんの漫画「天上の虹」が面白いです。漫画の主人公は、古代の女性天皇、持統天皇ですが、この天皇のいわゆる本名が「鸕野讚良」で、「うののさらら」と読むことを知ったからです。さらしなの響きと似ています。漫画は古代日本の国づくりにまい進した皇族をめぐる恋や愛の物語でもあります。

 更級への旅新聞163号で、鎌倉時代初めの天皇の側近、九条良経(くじょう・よしつね)が、中央集権国家・日本の最初の統治者と言える天武天皇(631?~686年)と吉野(奈良県)の深い関係を意識していたことを紹介しました。「さらしな」を「吉野」と同列に並べる和歌を九条良経が詠んでくれたことが名誉だったので、さらに「天武天皇」「吉野」「さらしな」などをキーワードに、ネット検索をかけるなどして調べているうちに、天武天皇の妻の名前が「鸕野讚良」であることを知ったのが、「天上の虹」への興味がわいたきっかけです。さらに調べると、この女性が、天武天皇が亡くなった後の天皇、持統(じとう)天皇となり、天武天皇がやり残した中央集権国家体制の基盤を固めたというのです。

 飛びつきました。皇室の女性なので「さららのひめみこ(皇女)」「ささらのひめみこ(皇女)」などと呼ばれていたでしょう。さらに調べると、持統天皇(さららのひめみこ)は、日本最古の歌集「万葉集」にも大きく関係した人で、天皇になってからも吉野を30回以上、訪ねています。万葉集以来の日本の和歌を集大成する「新古今和歌集」を編む任務も担った九条良経ですから、「万葉集の『さららのひめみこ』」「その『さららのひめみこ』は天武天皇の妃」「吉野になんども行幸した『さららのひめみこ』」などと、「さらら」を唱えることが幾度となくあったのでは…。「SARARA」の響きが、さらしな(SARASHINA)の連想させ、そうえば吉野もさらしなも花や月の白色イメージで共通しているなと発想したのでは…。