更旅66号 身に沁みていた宮仕え体験

 それにしても「更級日記」作者の菅原孝標女は古今和歌集編纂から100年も後の生まれなのに、また全部で1000を超える歌が載っているのに、どうしてそれほど「わが心慰めかねつ更級や姨捨山に照る月を見て」の歌に思い入れを抱いたのか。宮仕えの仕事をしていたのが大きな要因と思われます。平安時代の宮仕えとは、貴族階級の女性にとっての最も権威のある働き先の一つで、天皇をはじめとする皇族に仕えることでした。 (画像をクリックすると、PDFが現れ、印刷できます)