さらしなの「さら」が感じさせる「すがすがしさと躍動感」の証拠として文部省唱歌「春の小川」があることを何度となく書いてきたが、初夏にもあることに気づいた。「ささの葉 さらさら~」。7月7日朝、スマホのアプリを開くと、今日のトピックとしてまずこの文字が目に飛び込んできた。
「春の小川」と同じように子どものときに覚えたメロディーで、歌詞を口ずさんでみた。「ささの葉さあらさらあ のきばにゆれるう おーほしさーまー きいらきらー きんぎんすなごー」。
歌えた。そしてこの詩のさ行とら行の音の多さに気づいた。「ささのは」「さらさら」「ゆれる」「おほしさま」「きらきら」。盛夏を前にした梅雨晴れ夜空。緑濃い笹の葉にたくさんの願い事がかかれた短冊が掛けられ、ほのかな夕風に揺れている。見上げれば星のつぶの集まりの天の川。短冊に染められた金紛や銀粉が星明りを受けてゆらゆらときらめいている…。なんともすずしげですがすがしい。梅雨のうっとうしさが消える。
作詞者は、明治時代に山梨県穴山村(現在の山梨県韮崎市)に生まれた権藤はなよさん(1961年、62歳で死去)。地元の篤志家らが2013年、歌詞を刻んだ詩碑を生地に建立した。地元テレビは夕方のニュースで、この詩碑を前に大きな声で歌う幼児の姿を映していた。「たなばたさま」が歌のタイトル。これも文部省唱歌。
写真は、山梨市韮崎市穴山町の社会福祉法人信和会事務局のHPに掲載されたもの。穴山さくら公園に2013年7月7日建立された詩碑。