地域の水源を現代アートに 千曲市美術館企画展「AST」

 

 長野県千曲市のアートまちかどで始まった企画展「AST(アスト、Art/Student/Teacher)」で、地元の水源池を題材にした油彩作品に引き込まれました。八幡地区の田畑を潤す、頭無し(かしらなし)と呼ばれる貯水池の水面と水底に、首都圏の工業地帯の夜景がおぼろげに描かれている構図で、白光と森の緑、青、藍といった水の色のグラデーションが混然一体となり、かっこいい。脇に添えられたパネルには「現代という時代を象徴しているダイナミズム(力強さ)」といった画家自身の文章があり、自分の印象は確かにこの言葉で説明もできるなと思いました。水源に工業地帯-というと何か未来への不安を思いがちですが、この作品には不安より、活力、希望といったものを感じます。

 画家は千曲市生まれで現在は屋代南高校に勤める長門裕幸さん。千曲市にゆかりのある、長門さんの教え子の美術家6人のそれぞれのアート作品を展示しているのが、今回の企画展。9月25日まで。